第十八日目
由紀ちゃんの事がテレビで流れる様になりました。
そういえば近所の電信柱とか建物とかにも由紀ちゃんの写真が一杯貼ってあります。
写真とかテレビで見る由紀ちゃんと地下室の由紀ちゃんはだいぶ違うなと思いました。
体はすごく痩せてるのに顔は腫れて大きくなってる、そんな感じです。
その事を由紀ちゃんに言うとうつろな目で
「かえ・・かえして…かえしてください…・かえ…だれにもいいません・・いいません・・かえして・・」
よく聞き取れなかったのですがそんな事を言ってたような気がします。
それを聞いた和男君はとっても楽しそうな顔で
「お前はここで死ぬお前はここで死ぬお前はここで死ぬお前はここで死ぬ」
何回も何回も由紀ちゃんの耳元で囁いてました。
合計186回囁いてたと思います。
第十九日目
最近気付いたんですけど由紀ちゃんの髪の毛がとっても薄いんです。
前はもっと髪の毛あったと思うんだけど地肌が見えてます。
よく見てみると由紀ちゃんの周りに一杯髪の毛が落ちてました。
髪の毛が少なくなった由紀ちゃんはちょっと不細工です。
「髪の毛ちゃんと生やさないとお嫁さんにしてあげないよ」
由紀ちゃんは答えてくれません。
ぼんやりした目で天井を見つめてます。
松嶋先生がよく、人の話を聞く時は相手の目を見て話しなさいって言ってるのを思い出したので
由紀ちゃんの髪の毛を引っ張りました。
だって失礼じゃないですか!!僕が一生懸命話してるのに!!
変な音がして髪の毛がいっぱい抜けました。
抜けたときの感覚は…そうそう!学校の畑の雑草を引き抜いたときの感じによく似てました。
髪の毛がずるって抜ける時の感触が気持ち良かったのでいっぱい抜いちゃいました。
気が付いたら殆ど髪の毛が無くなってました。
床に髪の毛がいっぱい散らばって床屋さんの床みたいになってました。
由紀ちゃんは何も答えてくれません。
たたぼんやりと天井を見つめてました…・