第二十七日目
「どらとんクエスト」をやってました。
もう地下室へは行きたくありません。
思い出すんです!傷口の中を行ったり来たりしてるうじ虫の姿を!!
何十匹ものうじ虫達がもぞもぞと動いていた姿を!!
その度に背中がかゆくなります。
僕はうじ虫が嫌いです。好きな人はそんなにいないと思うけど僕はホントに大嫌いです。
それには理由があります。
小学5年生の時にこんな事がありました。
和男くんが蛙を捕まえてきたんです。アマガエルじゃなくてトノサマガエル。
和男君は手にお仏壇用のロウソクを持っていてそれに火を付けて
溶けたロウをトノサマガエルに垂らし始めました。
「か・・和男君?カエルさん熱がってるよ・・かわいそうだよ・・」
トノサマガエルはロウが垂らされるたびに足をバタバタしていました。
「いいか?純。こいつをロウで完全に固めるんだ!!前にさテレビでやってたんだよ
生き物を瞬間に凍らしたら何十年経っても歳をとらずに保存できるって!!」
和男君はすごく目を輝かしながらそう言ってました。
「で・・でも凍らすのとロウとはちょっと違わない?」
「一緒!一緒!要は空気に触れなきゃ大丈夫なんだって!まぁ見てな!」
トノサマガエルは完全にロウで固められて野球のボールみたいになってました。
生きているのか死んでいるのかさえわかりません。
かすかにトノサマガエルの模様が見えました。
固めたボールは公園のベンチの下に隠して二週間後、和男君に誘われて見に行く事になりました。
「これでカエルが生きてたら俺の実験は大成功だな!!
だってこいつは二週間何にも食ってないんだから。」
和男君はロウのボールを公園のベンチにぶつけて壊し始めました。
だんだんとロウが剥がれていきます。
中からトノサマガエルの姿が少しずつ見えてきました。
「か・・和男くん?どうなの?いきてる?」
「う〜ん 駄目だなぁ〜やっぱロウじゃ駄目なのかなぁ〜ほら!見てみろよ」
和男君はロウが完全に剥がされたトノサマガエルを僕に投げてきました。
「うわぁあああああ!!!ぁああああああああ!!」
トノサマガエルは死んでました。完全に死んでました。
体は変な紫色に変色してものすごく生臭い臭いがしました。
口をだらしなく開けて長い舌が糸を引きながら垂れていました。
その口の中に・・・・
その口の中に・・・・
うじ虫がいっぱい詰まってました。
大きく口を開けてるのに中が見えないくらいのうじ虫・・・・
僕は思わずトノサマガエルを地面に叩きつけてしまいました。
びちゃって変な音がして口の中に詰まってたうじ虫達が一斉に溢れ出てきました。
トノサマガエルの肛門からも出てきました!!
肛門をこじあけて体をくねくねさせて何とか出ようとしています。
それまでロウの中から出れなかったうじ虫がやっと外に出れる!そんな感じがしました。
和男君はニヤニヤしながら棒でトノサマガエルをひっくり返したりしてましたが
僕は限界でした。それ以上見ることができずに泣きながら公園を出て行きました。
公園を出ても背中がむずむずするのが止まりませんでした。
この日以来、うじ虫を見ると背中がかゆくてかゆくて仕方が無いんです。
由紀ちゃんのせいで更にうじ虫が駄目になりそうです。
前は小さい小さいトノサマガエルです。でも・・・でも・・・
今回は人間です!!
しかも大好きだった女の子です!!
自分の体に卵を産み付けられてそこから虫がいっぱいいっぱい出てくるなんて!!
かゆい!かゆい!かゆい!背中がかゆい!かゆい!かゆい!
僕は何回も体をぶるぶるってしました。
そのせいでせっかくの「どらとん」も全然集中できません。
結局、天使の翼は今日も見つかりませんでした。
いつの間にかレベルが31まで上がってました。
第二十八日目
今日は嬉しいことがありました!!
天使の翼が見つかったんです!!
テンテンの町の地下室にありました!!
これで渚のほこらへ行くことができます。
そうテンテンの地下室に…
地下室…
地下室……・・
ちかしつ………・・
うじむし………………・・
うじむしうじむしうじむしうじむし…………・
うじむしは嫌いです。